2026/02/09 15:30
【第25回オリンピック冬季競技大会】(ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック)は、2015年の【ミラノ国際博覧会】(エキスポ2015)以降続くミラノの国際的存在感の高まりを象徴する一大イベントだ。同時に、国際関係が急速に変化する地政学的状況のなか、スポーツのような象徴的イベントにおいてもその影響が問われる現在、開催国イタリアにとって戦略的な機会でもある。
そのため、現地時間2026年2月6日の夜には【2026冬季オリンピック】の開会式に大きな注目が集まった。式典はコルティナ・ダンペッツォ、プレダッツォ、リヴィーニョなど今大会の各会場で展開されたが、中心となったのはミラノのサン・シーロ・スタジアムだ。大規模イベントのクリエイティブ・ディレクションを専門とし、オリンピック式典でも豊富な実績を持つバリッチ・ワンダー・スタジオが手がけた約3時間半のメガショーとなった。
ショーの軸となったテーマはハーモニーとイタリアらしさだ。マルコ・バリッチは開催前に、「開会式は単なるテクノロジーやスペクタクルの披露ではありません。何より、人と感情を通して語られる物語です。複雑な世界において、調和、美しさ、平和というメッセージを、すべての人に届けたいと思っています」と語った。
音楽ゲストとして特に注目を集めたのはマライア・キャリー、ラウラ・パウジーニ、アンドレア・ボチェッリだった。さらにオリジナル音楽制作には500人以上のミュージシャンが参加し、式典の音楽面を支えた。
午後には公式レッド・カーペットの舞台となったテアトロ・アッラ・スカラでイベントが始まった。過去大会の主役たち、米国のスノーボーダー、ショーン・ホワイト(五輪金メダル3回)やオランダのフィギュア・スケート王者、イレーネ・スハウテンなどが姿を見せた。さらにジェフ・ゴールドブラム、ドナテラ・ヴェルサーチェ、スタンリー・トゥッチ、マリサ・トメイら、映画やファッションなど多彩な分野のアイコンも登場した。
音楽アーティストに目を向けると、ENHYPENのSUNGHOONがすでに聖火ランナーとして注目を集めていたが、この日スカラ座には黒のスーツに白シャツというエレガントな装いで登場した。10年間フィギュアスケートを競技として続けた経歴を持つ彼は、「アスリートもK-POPアーティストも、ファンを喜ばせてイベントを楽しんでもらうという目標は同じだと思います。アスリートだった頃は五輪出場が夢でした。アーティストとしてここにいるのは違った感覚ですが、とても光栄です」と述べた。
また、やや意外な登場となったのがアッシャーは、音楽とスポーツの関係について語った。彼は、「音楽とスポーツは切り離せないものです。たとえばフィギュア・スケートでは音楽が非常に重要ですし、多くの場合アスリートを鼓舞し前に進ませるサウンドトラックの役割を果たします」と語った。
開会式は午後8時ちょうどに振付パフォーマンスで幕を開けた。テアトロ・アッラ・スカラ・アカデミーの70人のダンサーがクピドとプシュケの神話を再解釈して表現した。新古典主義彫刻家のアントニオ・カノーヴァを想起させる白の色調と明暗のコントラストは、やがて色彩の爆発へと変化し、ジュゼッペ・ヴェルディ、ジャコモ・プッチーニ、ジョアキーノ・ロッシーニといったイタリアのクラシック作曲家の楽曲がそれを彩った。
イタリアの創造性へのトリビュートの後、マライア・キャリーが登場した。ダンサーに囲まれセンター・ステージに立ったディーヴァは、ドメニコ・モドゥーニョの名曲「Nel Blu, Dipinto di Blu」(「Volare」としても広く知られる)を大胆にリアレンジして披露した。代名詞ともいえるハイトーンを織り込み、その後自身のヒット曲「Nothing Is Impossible」を歌唱した。
会場のスタンドにはイタリア共和国のセルジョ・マッタレッラ大統領とカースティ・コヴェントリーIOC会長の姿もあった。続いて昨年9月に逝去したイタリア・ファッション界の巨匠ジョルジオ・アルマーニへの追悼が行われ、緑・白・赤のトリコロール・カラーに彩られた彼の作品をまとったモデルたちがランウェイを歩いた。
続いてラウラ・パウジーニが登場し、イタリア国旗のもとで国歌を歌った。その後は1時間以上にわたる選手入場が行われ、伝統に従ってギリシャが先頭、開催国イタリアが最後に登場した。イスラエルの旗にはブーイングが起こり、ウクライナ選手団には大きな拍手が送られた。
その後、公式スピーチが行われた。まずミラノ・コルティナ財団会長ジョヴァンニ・マラゴが登壇し、「私は祖国を愛し、スポーツを愛しています。今夜ほどイタリア人であることを誇りに思ったことはありません。アスリートの皆さん、今こそあなた方の時間です。積み重ねてきた努力、夢を見る勇気、限界に挑む決意。この大会はあなた方のものです。世界が紛争で分断される今、皆さんの存在そのものが別の世界の可能性を示しています。団結、敬意、調和です」と述べた。
続いてIOC会長のカースティ・コヴェントリーがアスリートへ向け、「皆さんを通して、私たちは人間の最良の姿を見ています。勇気を持てること、優しくあれることを私たちに思い出させてくれます。アスリートが転倒しても立ち上がる姿を見ると、自分たちにもそれができると感じます。ゴールで抱き合う姿を見ると、敬意を選べると気づきます。出身がどこであっても、この精神は共有されています」と語った。
またサン・シーロ・スタジアムには国連ピース・メッセンジャーでもある俳優のシャーリーズ・セロンも登場し、「平和とは単に争いがない状態ではありません。人種、肌の色、信条、宗教、性別、階級、カースト、その他あらゆる社会的差異に関係なく、すべての人が十分に力を発揮できる環境をつくることです」と、ネルソン・マンデラのスピーチに着想を得たモノローグを届けた。
サン・シーロへの聖火到着は、イタリアらしさの象徴ともいえるもう一つの旋律、プッチーニのオペラ『トゥーランドット』の「Nessun dorma」とともに演出され、世界的テノールのアンドレア・ボチェッリが歌唱した。楽曲の最高音に達した瞬間に聖火がステージへ到達した。
直後に登場したラッパーのガーリは、親パレスチナ姿勢を理由に開会式のなかでも議論を呼んだ存在だった。本人は国歌斉唱やアラビア語での発言を制限されたと主張しており、テレビ中継では彼の名前が言及されることもなく、クローズアップで映されることもなかった。
しかし、シンプルな構成ながら、この日のパフォーマンスは特に心を打つ瞬間となった。白衣装のダンサーを従えながら、ガーリはイタリア語・フランス語・英語の3言語で、イタリアの児童文学作家であるジャンニ・ロダーリの詩「Promemoria」を暗唱した。「決してしてはいけないことがある/昼でも夜でも/海でも陸でも/たとえば、戦争」という、紛争への明確なメッセージが示されていた。
選手宣誓の後、ミラノとコルティナの両都市で聖火台が同時に点火され、【ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック】が正式に開幕した。
この記事は元々ビルボード・イタリアに掲載された。
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